グリーフの知恵

認知行動療法

認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy)という言葉をご存知でしょうか。グリーフワークにおいてもこの認知行動療法は有効であるため、ご紹介します。

※認知行動療法についての正確な情報につきましては医療機関やカウンセリング機関などにお問い合わせください。本サイトでは責任を負うことはできません。あくまで手法のひとつとしてご紹介しておりますので、自己責任の上、ご覧ください。

Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/認知行動療法

認知行動療法とは何か

※認知行動療法とは何か、正確な情報は医療機関や書籍等をご覧ください。

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター

https://www.ncnp.go.jp/cbt

認知療法・認知行動療法は、認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種です。認知は、ものの受け取り方や考え方という意味です。ストレスを感じると私たちは悲観的に考えがちになって、問題を解決できないこころの状態に追い込んでいきますが、認知療法では、そうした考え方のバランスを取ってストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていきます。

このように人間は、「認知」「行動」「気分・感情」「身体」という4つの領域の相互作用をもっています。またこの前提としてその人の置かれる環境や状況が重要です。

この概念を知らないと、外部からのアクションに対して感覚的に反応しているとか、気分によって行動してしまうといったズレた行動パターン反応を生み出してしまいます。

そうではなく、まず初めに「認知」があるのだという理解をしておくことで、外部環境をどう認知するかが重要だということがお分かりでしょう。

「認知の歪み」を知る

死別直後は特にそうですが、私たちは様々な感情を抱きます。それは「愛する人が死んでしまった」という環境を前にして、筆舌に尽くしがたい想いが駆け巡るからです。

例えば、罪悪感や後悔、激しい怒りなどです。これは「愛する者の死」をきっかけに、私たちの「認知」がまず初めに反応します。

そして、その認知に基づいて「行動」があり、その「行動」から自分の「気分や感情」が刺激を受けます。そして「身体的な反応」が起こります。

大切な人の訃報という環境を受け、「もっと愛を伝えておけばよかった」「あの時にあんな言い方をしなければよかった」といった認知をすることもあります。しかし、もしここで(自分は気づかない)認知をしてしまうと、それ以降の「行動~身体」までが間違ってしまうのです。

これを「認知の歪み」と呼びます。私たちはいつの間にか、この「認知の歪み」に入り込んでいることもあります。大切な人がいなくなってしまったのですからそれも当然のことです。

もちろん、多くの人がこのように考え、感じるのでそれ自体がいけないということではありません。死別直後は、このようになりやすいですので気にする必要はありません。

また、このように歪みが起きていることにも気づくことはできません。

認知が歪んでいるままグリーフワークを進めていくと、自分がドンドン苦しくなることもあります。上記の場合には、なかなか出口が見えない状態が続くでしょう。

そのため、できることならこの歪みを矯正した方が良いケースもあるでしょう。医療機関やカウンセリング等を受診するのもお勧めです。

見え方、角度を変えるための質問

では、いったいどうすればいいのでしょうか。人は、「自動思考」とも言うべき認知を持っています。無意識に「こうだ」と思ってしまう、決めつけてしまう傾向があります。

自動思考は自分で変えるのは大変なので、それをどうにかしようとする前に、「もしかしたら今の考え(認知)って歪んでないかな?」と自分に質問するだけで十分です。

「立ち止まって、いったん冷静になって考えてみる時間」を一瞬でも作ることができれば、その時から認知を正しく捉えているかどうかに気づくことができます。

これは言い方を変えれば、色々な角度からひとつの事象を見るようにするためのトレーニングです。グリーフワークにも大変有効な手法です。

自分が体験した死別体験の意味

「過去は変えられないが、未来は変えられる」という言葉があります。

認知を変えることによって過去の事象についても意味づけは変えることができます。これはナラティブアプローチと言われますが、ナラティブ(Narrative)、つまり「物語を語る」ことによって、自分にとって過去の意味は変わるのです。

心が弱っているときには、どうしても他人の解釈をそのまま受け入れがちですが、それが合っているかどうか(自分にとって正しいかどうか)は誰にも分かりません。

それよりも、自分自身で意味づけをする、物語を紡いでいく行為こそがグリーフワークでもあるのです。

「どうしてあの人が亡くならなければならなかったのか」という問いに対して出てくる答えは千差万別なのです。残念ながら亡くなってしまったという事実は変わりせんが、その理由を自分の中で正当化できたとき、自分と相手との物語が紡がれているのです。

そこで初めて自分自身が体験した、喪失、死別体験が意味を持つようになり、そして何よりも、愛するあの人との新たな絆が生まれているはずです。

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dan325

10年ほど前に妻を癌で亡くしました。若年死別経験者。愛する人や大切な人の喪失や死別による悲嘆(グリーフ)について自分の考えを書いています。今まさに深い哀しみの中にいる方にとって少しでも役に立てれば嬉しいです。

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