グリーフワーク

自分でできること

毎日、何をする気にもなれず、食欲を失ってしまったり、逆に過食になってしまったり、睡眠障害や肉体に明らかな障害を示したりと、若年死別では非常に多くの反応があるのが普通です。

精神面へのダメージやストレスが主ですが、それに影響を受けて肉体もしっかり影響を受けています。体調不良などは当然ですし、苦しい日々が続いていきます。

「毎日、息をしているだけでも素晴らしいことだ」というセリフもあるくらい、死別後の生活、人生は辛く苦しいものです。

そんな中でも私たちができることは何かを考えてみましょう。

グリーフワークは個人的なもの

はじめに、グリーフは非常に「個人的なもの」であることを理解しましょう。誰かに100% 理解してもらえることはありません。もしあなたの今の状態を理解してもらえるとしたら、それは愛する人だけでしょう。

つまり、グリーフは誰かに依存することはできない類のものだということです。最終的には、ひとりで抱えていくものです。自分以外の誰かが分かってくれるのだという幻想は捨てるしかありません。

※ただしそこに至るまでの周囲からの様々なサポートは100% 活用すべきです。

「グリーフが個人的なものだ」という前提に立つとき、それは誰か比較したり、焦燥感を感じたりする必要はないということはお分かりでしょうか。

これは非常に重要な観点です。誰かに言われてやる受動的なことではなく、自分自身で選び、決めるという能動的な判断が必要です。

※死別後には大きな決断はしない方が良いと言われますので、そういう意味ではなく、毎日の過ごし方という点での決断です。

自分が納得すること

自分で決めると言っても、今までひとりですべて決めてきたならともかく、二人で相談しながら決めてきた、または大事なことは相手に決めてもらっていたというケースもあるでしょう。判断基準が自分の外側にある場合には、まずそれを内側に取り込まなくてはなりません。

これは相手の価値観を含めて受容することが求められるので、簡単ではありませんし、すぐに実践できるものではありません。

ではどうすればいいのか。

それは「自分が納得できる、腑に落ちる」感覚を大切にするということです。

例えば、「食欲はないけど、何か食べなくちゃ」というシーンでは、「ご飯を食べるのか、パンを食べるのか」といったことから悩むわけですが、こういう部分から自分の感覚で決めていく事です。「ご飯が残ってるからご飯を食べた方がいいのだろうけど、でも気持ちはパンを食べたい」ならパンを食べた方が納得感は大きいです。

こんな当たり前のことと思われるかもしれませんが、「想定の世界がひっくり返っている」訳ですから、大きなことではなく、むしろとても小さなことから決めていく事が重要です。スモールステップを沢山積み重ねていく事によって、それがいつしか盤石の礎を作ってくれることになるからです。

自分だけで行動できること

さて、自分が納得できる行動をすると言いながらも、喪失の最中にいる私たちには気力も体力も残されていません。とても精神的に参ってしまっている状態で、いったいどんな行動がとれるのかと考えてしまいますが、実は何か大きな行動をしましょうという話ではありません。

ここでは、自分自身でできそうな行動の例をご紹介します。ポイントは、「自分ひとりでできること」です。

これらはあくまで一例ですので参考程度にご覧ください。

 

行動の種類インドア:自宅
アウトドア:外出
難易度(すぐできるかどうか)重要度(グリーフへの効果)
日記を書くインドア易しい
ブログを書くインドア易しい
直感に従って生活するインドア/アウトドア易しい
本を読むインドア/アウトドア易しい
自分自身で説明できる言葉をまとめるインドア易しい
手紙を書くインドア易しい
絵を描くインドア易しい
亡くなった人の生涯を文章にまとめるインドア普通
本を書くインドア難しい
(自宅)ヨガを行うインドア易しい
瞑想インドア普通
(自宅)映画を観るインドア易しい
料理をするインドア易しい
掃除をするインドア易しい
音楽を聴くインドア/アウトドア易しい
二人の写真を見るインドア難しい
二人の動画を見るインドア難しい
故人の声を聴くインドア難しい
故人の追悼集を制作するインドア難しい
二人、または故人の思い出を人に話すインドア/アウトドア難しい
故人の遺品を整理するインドア難しい
毎朝時間を決めて起床するインドア易しい
毎晩時間を決めて就寝するインドア難しい
裁縫をするインドア易しい
ゲームをするインドア易しい
儀式、イベントを開催するアウトドア難しい
二人の思い出の場所に行くアウトドア難しい
ダンスをするアウトドア難しい
演劇やミュージカルを観るアウトドア難しい
スポーツジムに行くアウトドア難しい
(映画館)映画を観るアウトドア難しい
日帰り温泉に行くアウトドア難しい
(ファミレス)外食するアウトドア難しい
(ファーストフード)外食するアウトドア普通
(レストラン)外食するアウトドア難しい
(焼肉屋、すし屋等)外食するアウトドア難しい
ドライブするアウトドア易しい
ドライブスルーで買うアウトドア易しい
カラオケに行くアウトドア普通
カウンセリングを受けるアウトドア普通
サポートグループへの参加アウトドア普通
一人旅をするアウトドア難しい

「能動的な行動」を選択する

いかがでしょうか。実は、これらは自分で決めて自分のペースで行動できるものばかりです。もちろんここに掲載されていないものでも、ご自身で行動できることは実行してみてもよいでしょう。

ポイントは、「自分が納得できるかどうか」です。無理をするのは辞めましょう。無理をすればやがてその反動が返ってきてしまい、より苦しい気持ちになってしまうこともあります。

「何もしたくない」という日も多いはずです。泣き疲れてそのまま眠ってしまうこともあるでしょう。愛する人を失ったのですから、そういう日があってもいいのです。誰も悪くないのです。

そんな日々を過ごす中で、できることは限られているかもしれません。しかしその中でも「選択」することはできますし、「何もしない」という選択も、自分自身で選択しているのです。

これらはすべて「能動的」な行動です。

こうやって自分だけでできることが増えていくと、亡き人との絆を改めて埋めてくれるのです。

 

 

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dan325

10年ほど前に妻を癌で亡くしました。若年死別経験者。愛する人や大切な人の喪失や死別による悲嘆(グリーフ)について自分の考えを書いています。今まさに深い哀しみの中にいる方にとって少しでも役に立てれば嬉しいです。

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