コラム

死別後はいったん留まろう

大切な人がこの世からいなくなってしまうという事実はその後の様々なことに影響を与えるわけですが、伴侶の喪失でもっとも影響を受けるのは私たちです。

目に見えない影響は大きく、それは第三者からは想像することはできませんが内面でのダメージは相当なものです。

目に見えない分、自分でもどこまで影響しているか分かりません。そして大抵それは根深いものとなります。にもかかわらず、周囲からはそれは分かりません。そのため、彼らの時間軸で話をすることになります。

ところが、グリーフの時間というのは、特別な時間感覚で流れるため、彼らのペースで進めることはできないのです。

グリーフの時間は特別な時間

生前、夫婦や家族で過ごした時間というのは、かけがえのないものです。当然、お金には代えられない時間です。共に泣き、共に笑いあった時間こそ、私たちの宝物でしょう。

そんな時間があるからこそ、私たちはとてつもなく哀しいのです。だからこそ哀しみで押しつぶされそうになるのは、当たり前の話なのです。

グリーフの時間

 

そして(ここに罠があるのですが)これまでの時間と同じ感覚で過ごしてしまうと、周囲からの声がプレッシャーになってしまいます。

「もう3年経った」「前を向かないと」という一般的な時間軸でグリーフを語ることになりますが、実はそれらは全く関係ないことなのです。

グリーフは愛を育む時間

グリーフは確かに伴侶の喪失という点だけを切り取れば哀しみの時間です。しかしながら、改めて二人の関係性を見つめ直し、自分自身を再構築していくための愛を育む時間でもあるのです。

相手は確かに目の前には見えないけれど、確実にそばにいるし、微笑んでいてくれているわけです。だからこそそれを忘れることなく、きちんと対話し、感情を味わいましょう。泣いたっていい、笑ったっていい、怒ったっていいのです。

あの人と出会った時を思い出してください。どんな印象でしたでしょうか?素敵な人だったのでしょうか?それとも第一印象は最悪だったのでしょうか?

グリーフの期間というのは、確かに哀しいですが、こういったことをしっかり考える、感じるためのとても大切な時間なのです。ですから、世間一般の時間軸に合わせる必要はありません。自分自身を、大切な人のことを見つめ直す時間を短くする必要はないのです。そこに留まり、人生を再構築することこそ、これからの人生を改めて生きていく力の源になるのです。

夫婦関係を改めてゆっくりと時間をかけ、お互いを知る努力をしたり、もう一度あの人に出会って、愛を育んでいきたいものです。

 

今日はそんなことを想いながら過ごしています。

 

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dan325

10年ほど前に妻を癌で亡くしました。若年死別経験者。愛する人や大切な人の喪失や死別による悲嘆(グリーフ)について自分の考えを書いています。今まさに深い哀しみの中にいる方にとって少しでも役に立てれば嬉しいです。

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